茶葉は茶の樹と呼ばれる植物から収穫されます。
樹から伸びた葉や新しい芽を摘み取ってそれらを加工したものがお茶屋さんやスーパーに並びます。
茶の樹が栽培できる環境は限られており、日本においても全ての地域で茶の樹が栽培できるわけではありません。
今回は茶の樹の種類やお茶の品種に加え、栽培方法や製造方法について解説させていただきます。
<茶の樹ってどんな植物?>
茶の樹はツバキ科の常緑樹で、毎年植え替える必要のない永年性の植物です。
寒さに強いですが1年の平均気温が13℃以上、年間降水量1300mm以上の亜熱帯地方に分布します。
そして弱酸性の土壌での栽培が適しています。
茶の樹が育つ環境としてこのようなやや厳しい条件があることから、日本では静岡県より南の地域で茶の樹が栽培される傾向にあるのです。
なお国内の茶の樹の栽培地で最も北の地域は秋田県ですが、経済的な観点での栽培地の北限は新潟県とされています。
また海外の場合はインドやスリランカで茶の樹が栽培されます。
<茶の樹の種類>
茶の樹は大きく分けると中国種とアッサム種に分かれ、日本では中国種が栽培されています。
中国種とアッサム種では茶葉に味の違いが生じるため、どんなお茶に用いられるかも異なります。
中国種
寒さに強く、渋み成分であるタンニンの含有量が少ない傾向にあります。日本茶と呼ばれるお茶にはこの中国種の茶の樹から摘んだ葉が使われます。
アッサム種
インド北東部のアッサム地方に自生する種類です。
アッサム種の茶の樹から摘んだ葉はタンニン含有量が多く渋みが強い傾向にあり、紅茶の茶葉として使用されます。
<お茶にはどんな品種がある?>
日本茶の中にはやぶきた、さえみどり、べにふうきなど非常に多くの品種が存在します。
中でも生産量No.1はやぶきたで、国内栽培面積の約70%はやぶきたが占めているのです。
ちなみにやぶきたの中でも商品によって細かな違いがあります。
栽培時の土の質や日当たり、そして茶葉を加工する時の合組(ブレンド)のやり方によって価格に幅が生じてきます。
<日本茶の種類はどれぐらいある?>
日本茶と呼ばれるお茶だけでもこれだけの種類があります。
・普通煎茶
・深蒸し煎茶
・玉露
・かぶせ茶
・玉緑茶
・碾茶
・抹茶
・番茶
・焙じ茶
これらのお茶は元々同じ茶の樹の葉で、栽培方法や製造方法によって種類が分かれていきます。
茶の樹の栽培方法とは
栽培方法には、収穫までの間ずっと日光にさらす露地栽培と、栽培途中で覆いを被せ日光を遮る被覆栽培があります。
被覆栽培をするのは玉露、かぶせ茶、抹茶(碾茶)です。
なおあまり一般的に知られてはいませんが、九州地方においては玉露、かぶせ茶、抹茶以外のお茶も被覆栽培される傾向にあります。
<茶葉の製造方法>
収穫された茶葉は加工の仕方によって玉露、抹茶、焙じ茶…といったふうに種類が分かれていきます。
それではそれぞれのお茶の製造方法についてお伝えします。
◆ 普通煎茶
摘まれた生葉を蒸した後、揉みながら乾燥させて荒茶と呼ばれる状態にします。
この荒茶の状態で販売されることもありますが、更に加工されることもあります。荒茶に火入れを行い茎や硬い葉を取り除いて細かく裁断したものは、仕上げ茶と呼ばれる煎茶として販売されます。
◆深蒸し煎茶
製造過程は普通煎茶と同じであるものの、深蒸し煎茶の場合は蒸す時間が2~3時間長いです。
蒸し時間が長い影響で葉の大きさが普通煎茶より細かく、また煎じたお茶は濃厚な味わいとなります。
◆玉露
新芽が出た時から摘み取りまでの約20日間、日光を遮って栽培されます。摘まれた葉は煎茶と同じように蒸して乾燥、火入れ、選別、合組を行った上で市場に出回ります。
◆かぶせ茶
収穫の7日前から被覆を行い、収穫された葉は煎茶と同じ工程で蒸しや乾燥などが行われます。
◆玉緑茶
蒸し製玉緑茶の場合は生葉を蒸した後形を整える精揉が行われず、回転ドラムに茶葉を入れ熱風を当てる中揉という工程を経て乾燥させます。
また釜炒り製玉緑茶は葉を蒸さず釜で炒り、その後回転ドラムで中揉を行い乾燥させます。
◆碾茶
玉露と同じく新芽が出てから約20日間被覆を行います。
その後収穫された摘まれた葉を蒸した後、揉まずに乾燥させます。
そして選別で茎や葉脈を取り除き、柔らかい葉を残します。
◆抹茶
碾茶を臼で1~20㎛の粉末にしたものが抹茶です。
◆番茶
成長して硬くなった葉や茎を使って製造されます。
製造方法は基本的に煎茶と同じですが、地域によって葉を蒸す代わりに煮たり炒ったりする場合があります。
◆焙じ茶
低級の煎茶や番茶の茶葉を集め、強火で焙煎して製造します。
焙煎によって独特の香りが感じられるようになります。
まとめ
お茶には多くの種類がありますが、それらは全て同じ茶の樹の葉から作られています。
蒸したり焙煎したりと加工のやり方を変えることで、茶葉を煎じた時に香りや味わいの違いが生まれるのです。製法に注意を向けることで、お茶の違いをより楽しむことができるのではないでしょうか?